はじめましての方へのご挨拶はこちら☺
ごきげんいかがですか、ふるやです!!!
万障繰り合わせ家族にも調整いただき駿さんの最新作を見てきました!!!
信者と言われてもいいそれでも事前情報ゼロで俺は行くのだという強気と、
これでつまらなかったらどうしよう最後になるかもしれない作品でがっかりしたくないなという緊張を抱えて行ってきましたよ!!
ひとまず内容に一切ふれず、簡潔に感想を言うとこんな感じ。
常々「記憶消して初見としてラピュタ見てみたい」などと思っていたので、
宣伝のヤリクチとしてどうなのと思いつつ事前情報ゼロという貴重な映画体験ができたことには感動!
レビューまっぷたつだから人におすすめしづらいんだけど、
可能であれば事前情報を入れないという特殊な映画体験祭りに参加してほしい。
わたしは内容もわりと好き。
自分に教養があればもっと読み解けるのかなと思う部分はあるけど、
ノー教養でもわりと楽しめる。
若干のネタバレを含んじゃっていいならこんな感じ。
途中「これ駿さん的に新しい引き出しなのでは?」と思う部分もあってドキドキしたけど、
最終的にはいつものドッカン大崩壊でもはや安心した。
数日経っても映画について考えてしまう魅力がある。もう一度見たい。
これより下、がっつり作品の内容へ言及します。
事前情報なしで楽しみたい方は、ぜひ映画をご覧になった後もう一度お越しください。
(事前情報なしで宣伝してきたからには、もう何を書いてもネタバレですしね…。)
未見の方に向けて最低限の説明はするつもりですが、基本的には見た者同士で「あれ、どー思った!?」と語り合うイメージで書いていますのでご承知おきください。
小難しい解釈・考察はほかの方にお任せします。
わたしのブログはただの感想文です。
登場人物とあらすじ
見てない人向けに最低限。
パンフレットが後日発売ということで、一度見ただけの記憶に頼っている(不正確な)部分があります。
主要人物
・主人公 眞人(マヒト)
小学校高学年~中1くらいに見えた。
・眞人の父
30後半~40代くらいかな?キムタクの声合ってる。
・眞人の母
姿が映されないまま、冒頭の火災で亡くなってしまう。
・眞人の母(少女期)
異世界で「ヒミ」という名前で登場。
・ナツコさん
眞人の母の妹であり、父の再婚相手。妊娠中。(情報過多)
・ばあやたち
お屋敷にいる7人のおばあちゃんたち。「ジブリババァ」の出血大サービス。
うち一人は「キリコさん」としてキャラ立ち。
どうりで一人だけ覚えやすい模様の入った服着てたわ。
・大おじ
眞人ではなく、お母さんたちから見ての「大おじ様(祖父母の兄弟)」かな?
異世界の主。
・アオサギ
ポスターに描かれてたやつ!!
作中でも「アオサギ」と言っているので鳥としてのアオサギに間違いないんだけど、中からおっさんが出てくる。
エンドロールを見るまで、いや見ても、菅田将暉とは気づかなかった。
努力もされているだろうけど、本当に器用な方なんだなあという印象。
あらすじ
太平洋戦争中の日本。
母を失った主人公と父親は、母の実家へ疎開することに。
そこには継母となるナツコとばあやたちが待っていた。
母の実家はとんでもない大豪邸。庭には謎の塔が建っている。
アオサギは「母君は塔の中で生きている」と誘うし、ナツコも塔の方角へ消えたまま行方不明に。
母についての真偽を確かめナツコを取り戻すため、眞人は塔へ向かう。
塔の中には異世界が広がっていて、少女期の母親に会ったりなんだりしてるうちに、
異世界の主である大おじから「私はもう歳だから、血族の君が跡取りになってくれ」と言われたけどお断り。
塔の異世界が崩壊する中、眞人は元いた現実世界へなんとか帰る。
本編感想
いやーどうしましょう、何から話したらいいですかね?
とりあえず可能な限り時系列で思い出せるだけあーだったこーだったって書いてみますね。
まず冒頭ね。
宣伝なしとはいえ、あきらかに昭和(戦中)の日本だろっていうイメージボードだけは出回っていて。
あ~戦争か~しんどいのかな~と心配しつつ、冒頭でカンカンカンカンの警報音。
こりゃキタなと身構えたし実際戦中のお話ではあるのですが、どうも冒頭のシーンは空襲じゃなくてただの火事なのかな。
お父さんが「母さんの病院が火事だ」って言うんですよね。
空襲なら「病院がやられた」とか「ここも危ないから逃げろ」とか、そういう言い方になると思うんだけどなかったので。
ここで主人公が、急な階段をほぼ四つん這いでぶわ~って上るシーンがあるんだけど、そこがすごい。
あれ誰が描いたんだろう。この後の異世界描写より、ここがぶっちぎりで鳥肌が立った。
おそらく多くの人が、この数秒の画に同じことを思ったと思う。
この階段のシーンと、炎のシーンがとにかくすごい。もう冒頭に全部振りされている。
「戦争が始まって3年目で母が死に、4年目に疎開した」という主人公のナレーション。
疎開先に到着した途端にね…いきなりすごいんですよね…。
和服美人が車(人力ならぬ自転車力のあの車の正式名称はなんでしょうか)で駅まで迎えに来てくれるんですけど。
ここで主人公の「その人は母にそっくりだった」という驚きの心の声。
ほーん、新天地で迎えに来た美人が、お母さんそっくり。父親と親しげに話を…ほーん…と思っていたら、
「もう聞いてる?わたしあなたのお義母さんになるのよ」
えーっ、いや、やっぱりねー!
「(お腹に手を当てさせて)動くの分かる?あなたの弟か妹よ」
えーっ、そこまで?えーっ、えーっえーっ?お腹に手を当てて「動くの分かる?」って聞くレベルまで育ってるの?
えー?お母さんが亡くなってから1年で?ということは1年経ってないころからでしょ?えーっっ?
で、「赤ちゃんのころに一度会ったきり」というこの美人、いったい誰なんやと思って見ていると、
どうもこの「ナツコさん」は亡くなった母親の妹で、これから過ごす疎開先は母親の実家なんだなってことが分かってくるんですよね。
いや~~~~~~~~…令和の感覚で言うとちょっときついよね。思春期としてもつらいよね。
この母親の実家というのがとんでもない広さで、基本日本風なんだけど昔の田舎の建物にしては洋風なお部屋もあったりするし、ばあや7人+小間使いのおじいちゃんも1人抱えているという、とにかくお金持ち。
お父さんは婿養子なのかな。
生前のお母さんの姿が一切出てこない(主人公の夢で、炎の中でゆらゆらしてるファンタジックな描写はあるけどはっきりした姿は映さない)のでどれだけ似てるか、姉妹の年の差はどれくらいかとか分かりかねるんだけど、
なんかね、「妻(母)そっくりの若く健康な美人」って、ものすごく都合がいい上になんかエロティックですよね…。
(お母さんは病院で亡くなっているし、眞人に下のきょうだいはいないし、病弱だったんじゃないかな)
見た目どころか内面がわかる描写ひとつないので、いやどんなに似てても元の妻(母)には代えがたい!っていう理由づけも視聴者にとっては見当たらないし…。
なんかね…複雑よね…。
それにしても着物の上からとはいえ、母亡き思春期の少年の手をとっていきなりお腹を触らせるの、なんかこう、アレよね…。
そのあとはガサツな描写は一切ないし、「眞人さん」って丁寧な呼び方は徹底してるし(思えばこの眞人さん呼びもちょっとエロく聞こえてきた)、パーソナルスペース広そうな人なんだけどな…アレよね…。
ナツコさんで言うと、お屋敷についてすぐ主人公が疲れて寝ちゃってるのを見つけるシーン。
「あらあらもう寝ちゃったわ、移動で疲れたのねえうふふ」っていう慈しみの顔には見えないんですよね。
あからさまに冷たいとか敵視っていう目線でもないんだけど、なんかこう含みのある目をしていて…。
『千と千尋』の千尋のお母さん、こういう顔しそう。(改めてだけど、なんで千尋母ってあんな冷たいの?怖いよね?)
父親から預かったスーツケースに、ばあやたちが群がってるシーンはすごかったですね。
すでに主人公の目にしか見えない妖怪が登場してるのかと疑ったら、普通に人間でした。
なんせ7人もいますからね、「ジブリババァ」の出血大サービス…!
とはいえ7人のばあや全員がキャラ立ちとはいいがたいんだけど、この中に滝沢カレンや風吹ジュンや大竹しのぶがいたってこと…?全然気づかなかった…。
駿さんの映画で音のするキスシーンが出てくるとは思いませんでした。(逆に音だけでしたけど…)
ほんとうもう…パパ何やってんだよ…。
夕食には間に合わせるって言ったのに帰るの遅いしさぁ…眞人君、待ってたんだからね…!?
で、疎開先の学校に行って、さっそく喧嘩ですよ。
眞人以外は丸坊主でしたからね、そりゃ都会からきた金持ちのボンボンなんて気に食わないよね。
初登校の帰り道でさっそく多勢に無勢で殴り掛かられてるんですけど。
終わってみたら、案外負けてなかったよね…?都会っ子のくせに喧嘩強かったんか~、と思ってたら問題のシーンですよ。
そのへんの石ころ拾って右側頭部を自傷。
こっっっわ。何この子、こっっっわ。
血ダラダラ出てたよ、かなりの力でぶつけないとああはならんでしょ。
そのくせ家に帰ったら「転んだだけ」とか言うの。こわい。
激おこの父親の権力を使って具体的に誰に仕返しをしたい、という表明がないのが逆に目的が不明瞭な感じでこわい。
もう情緒ぐちゃぐちゃで学校行くのだるかったから自傷したんかな。
父親から不登校上等!のお許しが出るのまで予測していたんだろうか…ただのボンボンじゃないぜ…。
頭の怪我のせいで熱まで出て苦しむ様子があるんですけど、その看病についてるナツコに
「わたしが代わりますから休んで」ってばあやが言うシーンあるでしょ。
あっさり交代するんだよね。パフォーマンスでもいいから目が覚めるまでいて欲しかった…まぁ身重だからってのもあるけど…。
ナツコの突然のつわりしんどい描写はちょっと謎なんですよね…。
一般的にはつわりって妊娠初期にあるもので、お腹触って「動くの分かる?」とか言うころにはなくなってるんじゃないかな…疎開先に到着した日にもつわりがつらい雰囲気全然なかったじゃん…。
もちろんつわりは日によって今日は大丈夫!今日はしんどい!って波があったり、初期どころか産まれるまでずーっとしんどいって人もいるから、一概に変だとは言えないんだけど…ナツコさんはいったい妊娠何か月なの…。
で、ばあやたちに見舞いに行け行けって言われて見舞いに行ったときに
ナツコさんが「頭の傷は大丈夫?お姉さまに申し訳が立たないわ…」って言うの。
もちろん姉(母)とは切っても切り離せないんだけど、僕の心配じゃなくて、姉さんの息子の僕として申し訳なく思ってるだけですか…ってちょっとがっかりしちゃう言葉だと感じました。
ナツコさんのお部屋洋風できれいでした。
そろそろアオサギの話します?
アオサギ、美しくて不気味で、序盤めちゃくちゃ格好良かったですよね。
鳥のくちばしから人間の歯が見えるのめちゃ異形!って感じで気持ち悪かったです。
「おいでくださいおいでください」のところ、ナツコさんの弓まで含めてぞくぞくしてよかった。
同名小説『君たちはどう生きるか』にはまったく関係ないと聞いていたので予習していなかったんですが、
まさか作中で、主人公がその本を読んで泣くシーンがあるとは思わなかった…。
しかも亡き母親が「大きくなった眞人へ」って遺した本ですよ。
間接的とはいえ、物語の理解に本の内容が必要ではないか…!
なぜ眞人は泣いているんだ!?読まなければ分からないじゃないか…!!
(コペル君、という文字は確認したので、例の本なのは確実のはず。)
それにしても、あのアオサギからおっさんが出てきたときはびっくりしましたよね。
おっさんなんか~い。
作り物のお母さんのくだりではめちゃくちゃ嫌な奴なのかと思ったけど、なかなかいい相棒でした。
「風切りの七番」について、フォロワーの鳥有識者に意味あるワードなのかと聞いたところ、
「(七番についてはわからないけど)風切羽は鳥が飛べるかどうかにかかわる大事な羽」という知見は得ることができました。
サギ退治に弓を自作してたのはさすが昭和っ子だと思いましたね。
令和っ子では、相当マニアックな知識がないとやろうとさえ思いつかないのでは。
風切羽のマジカル効果がなかったとしても、まともに当たれば殺傷力高そうだった。
とにかくあの塔に入るまでが長かったですね…!
たっぷり贅沢に時間が流れた印象。(決して冗長だったとは言ってません。)
なんならわたしは異世界に行く前までの、「屋根の下に入るなんて珍しい」から始まるアオサギとの緊張感あるやりとりがけっこう好きです。
さて下の世界に来てからですが。
あの巨大魚はなんなのかな。古代魚とかかな。さかなクンがいたら解説してくれそうなんですけどね。
ワラワラ、どう思いました?
たしかに可愛いんですけど、こだま的なときめきはなかったです。
これ本当に駿さんが生み出したキャラ?と疑ってしまう。
なんかあっさりつるっと、なんのひっかかりもない見た目じゃないですか?可愛いけどさ…。
飯がまずいとかぶーとか言ってたし、とんでもない自傷するし、
キャラデザはアシタカを思わせるのにどうにもひねくれた主人公だけど、
心配かけてごめんって言いながらばあやたちのお守り人形を撫でてるのは好感度UPでした。
ペリカンですか?ペリカンは…あっちにもこっちにも事情はあるよねぇというところでしょうか。
アオサギと、ペットが野生化しがちなインコはまだしも、ペリカンは日本にしてはちょっと唐突な感じがしたけど、
何か意味があるのかな…。いや異世界なんですけどね…。
ペリカンの亡骸を埋めてあげるの偉かったですね。けっこう大きいよねペリカン。
この埋葬によって、アオサギとちょっと距離が縮まったのかなと思います。
アオサギのくちばしの穴を埋めてあげるくだり、フフッて和めたし、
眞人がなんだかんだいいやつだと分かるので好きなシーンです。
人食いインコが「ナツコさんには赤ちゃんがいる。赤ちゃんは食べない。」って言ったの、気になってます。
なんで赤ちゃんは食べないんだろう…。
赤ちゃんって、産まれた状態でも柔らかくてすごくおいしそうだし、
胎内にいる状態でも、いわゆる子持ちシシャモ的な感じで食べるには絶好じゃないですか?
少年の眞人を食べようとしている時点で道徳的にどうこうってわけでも、大おじ様の血縁だからってわけでもなさそう…。
食べないんじゃなくて、食べられないのかな…?なんで…?
とか思ってるうちに、ヒミ登場。
「ナツコ?妹のことか!」ってセリフで、見てるこっちは「うおー!」ですよね。
ばあやが父親にしていた説明からの流れで、とてもわかりやすかった。
若キリコさんがいたのもそうだし、この塔はいろんな時空とつながってるのか。
確かに母君は塔の中で生きていた…嘘ではなかった…。
ていうかあの塔の中の世界、ほんとなんなの…?
空から降ってきた塔がもとになってるってことは、完全に大おじのオリジナルワールドってわけでもないですよね。
しかも御一新のちょっと前ってことは、あのばあやたちからしてみれば自分の生まれるちょっと前くらいの話で、案外最近なわけで…。
でも塔について考えても謎すぎるので、次。
今回のジブリ飯は、「苺ジャムトースト」でしたね。
キリコさんの謎鍋も、このジャムトーストも、いわゆる「ジブリはご飯がおいしそうに見える~!」というのとは違った気がする。
垂れるほどのたっぷりジャムトースト、おいしそうに食べていたけど、別に食べたくはならないかな~。
食べたいというより、母親目線で「もっとお食べ」と眞人に食べさせてあげたくなる感じ。
流れ的にはそろそろ産屋でしょうか。
ナツコさん、行方不明時は眞人に「来たくて来たんじゃないと思う」と分析されてましたが、
ヒミ談では「帰りたがってない、ここで赤ちゃんを産む」とのこと。
ヒミは嘘つかないだろうから、まじでここで産むつもりだったのかな。
なぞの呪術に包まれた産屋だと、つわりが軽くなったんだろうか…?
で、ここで眞人とナツコの帰ろう!帰らない!の押し問答ですよ。
ナツコさん第一声「なんでここにいるの!?」って驚いてましたね。
そりゃいろいろ驚くよね。異世界だし、しかもどうやら他人が入るのは禁忌の産屋だしね。
で、帰りなさいを何回か言った後の「あなたなんか大っ嫌い!」ですよ。
よくあるやつだと、好きだけどあえて嫌いって追い返す(元の世界に無事帰してあげる作戦)なわけだけど、
ナツコさんの場合はどうかな…?
ここまでわたしの中では①昼寝する眞人への含みある目線、②あっさり看病交代、③姉さんに申し訳が立たないという方向での心配の仕方、と、
「ナツコがそこまで眞人のこと好きじゃなさそうな描写」はそろってるんですよね。
眞人がいる限りたとえ男児を産んでも跡取りにはできないだろうし、赤ちゃんのとき会ったきりだから甥っ子として愛着がわく機会もなかったろうし、大嫌いは言い過ぎでも、扱いにくい存在とは思っていたでしょう。
そしてそんなナツコの「大嫌い」発言を受けて、突然眞人が「ナツコ母さん!」って呼び出すんですよ。
えっ…え~~~?
今までそんな呼び方したことないのに、ここで急に母親扱い?なんで??
嫌いって言われたここで??「よく言った、これで俺たち本音で渡り合えるね」ってこと??
かなり混乱したんですが、見終わった後
眞人がナツコについて聞かれたとき「父さんの好きな人」って表現してるのは、実は自分もナツコを好きなのを隠すためじゃないか?ってツイートしてる人がいてちょっと助けになりました。
たしかに、「『母の妹』とか『新しい母親』とか簡単な言い方もあるのに、やけにまわりくどい言い方するやんけ」と思ったんですよね。
キリコへの返事と、ヒミへの返事と、劇中2回はそう言っていたはず。
その説をお借りすると、「嫌い」ってはっきり言われて脈なしを自覚(軽い言い方でごめん)、ようやく自分の中で異性ではなく母親扱いできるようになったってこと…?
エディプスコンプレックスですか?(これは横文字を言いたいだけ)
まぁなんかね、ロマンだよね、さっきも書いたけど「亡き母親に似た若く美しい継母」って、源氏物語の時代から男主人公が「わーっ」てなっちゃう何かなんでしょうね。
(このへん全部推測ですけどね。)
ところで石の産屋、ビジュアル的にほぼ石舞台のお墓じゃなかったですか?こわい。
そして「ナツコ母さん」って言われた後に眞人に向って言った「逃げて!」は本当だった(本心から、彼だけでも逃げて助かってほしかったんだろう)と思う。
そんなこんなでお父さんですが。
前妻を亡くし、忘れ形見の息子と身重の新妻は不気味な塔で行方不明。
あんた頑張ってるよ…!
いろんなグッズ持って自分で眞人たちを探しに行くの、偉いと思います。
meijiのチョコレート持ったの、栄養豊富な非常食としてなのを頭では分かってるけど、現代の感覚だと遠足のおやつに見えてしまうギャップが申し訳ない。
戦中の田舎で板チョコ持ってるのはやっぱりすごいのかな。
お父さん、(婿養子と仮定して)「家」のためとはいえ妻の妹を早々に孕ませたり、
「車で乗り付ける転校生なんていないぞ!」と反感買うの当然な派手な送り出しをしたり、
食卓で「サイパン陥落でうちの工場は大儲け!」と豪快に話したり、
手放しに好きと言えない部分も多いんですけど、息子の頭の怪我を見て怒り心頭で即行動を起こしてくれるし、
こうやって自ら怪しい塔に乗り込んで助けようとしてくれるし、
派手好きで金こそ正義&俺に任せときゃ間違いないみたいな独りよがりなとこはあれどまぁまぁいい父親ではありますよね。
そこが眞人的にも複雑なところなんだろうなと思いますけど。
特に「戦争で設けた金でご飯を食べる」というのは複雑よね。このへんは自伝的だなと思いますが。
そしてこの、華やかで独りよがりな感じが、キムタクにすごくハマっていると思います。(悪口ではないです)
ハウルも「なるほどキムタクめっちゃあり」と思ったんですが、今回もなかなか。
ご自身が子を持つ50歳といういい「おじタク」になっているのも相まって、すごく似合っていると思います。
駿さん、よくぞ思いついてくれました。
そして唐突に言いますが、お父さんはたぶん、セックスも独りよがりで下手なんじゃないかと予想します。
で、父親が外で奮闘する中、塔の中でもてんやわんやで。
インコのお祭り騒ぎ、よかったですね。めっちゃパーティーしてるやん…!
そして大おじ様からのスカウト。
異世界の主を引き受けたら元の世界には帰れないはずで、『すずめの戸締り』の要石を思い出しましたが。
これは完成まで長くかかってしまったのが惜しかったなと思います。
公開順でちょっと真新しさがなくなってしまったのでは。
『天気の子』も『すずめの戸締り』も、どちらも世界のための人柱の拒否でしたね。
新海作品は直接現実世界のためだったから、塔の世界の跡取りになるのと一緒にするのはちょっと違うか…。
駿版『不思議の国のアリス』って言ってる人もいましたね。
たしかにこのへん、連続性があるようでないというか、とぎれとぎれでまぜこぜの夢みたいな感じがあります。
で、まさか跡を継ぐんかな…これは駿さん的に新しい引き出しでは…?とドキドキしていたら、
インコ大王の積み積みでドッカーン!!!世界は崩壊!
ナウシカラピュタもののけなどなどでいつも見てました、崩壊エンド!!よっ、そうこなくっちゃ!
正直、積み木(ならぬ積み石)が悪意とかピュアとか、三日に一個積みなさいとか、聞き流してました!
この辺はよくわからない!なんで積み木で世界が支えられてるのか、説明できる人いるんですか!?
13個の積み木は過去作の数で~とか、スタジオジブリには結局後継ぎがいなくて~とか、なんかそういう考察も見ましたけど、とにかく最後、エッ!?インコ大王積み木できるん!?とか言ってる間にガラガラ崩れるがれきの中を主人公たちが走っていたなという印象です!
異世界で生きてる間にずいぶんと堂々とできるようになったもんだよ!
わけのわからないデッカイ魚だって捌いたし、事情を抱えたペリカンの亡骸を埋めたりしたもんね!
そりゃひとつの世界の主を断る肝ぐらい据わるってもんだよ!
で、別れ際のヒミとのやりとり。
「ヒミ=母親の少女時代」というのは、お互いあえて口に出さなかったけどヒミも眞人も承知のようで。
一緒に132の扉から帰ればいいじゃん、ヒミは元の時空に帰ったら火事で死んじゃうんだよ!って止めるわけですね。
そこで、それのなにがいけないの?って顔で即答するヒミ。
「火はきれいだから怖くない」とかは置いといて「あなたのお母さんになるの」(眞人を産むために元の世界に帰る)ってあまりにもあっさり言うんですよ。
そもそもこのヒミ、下手だけどやけにいい声だなと思ってたらあいみょんだったんでしょ?どうりでいい声ですよ。
最近朝ドラで歌声は毎日聞いているのですが、まったく気づかなかったです。
たぶん演技として下手なんだと思うけど、その「わたしたちの思う常識からちょっと外れたところをふわふわしてる、あっけらかんとした感じ」が合ってるといえば合ってる。
この後若くして死んじゃうんだよ!って言われて、死ぬのなんて平気だよって即答できるの、普通じゃないですよね。
なんの逡巡もありませんでしたからね。
でも「死ぬのは平気、そんなことよりあなたを産みたいのだ」と出生を全肯定してもらえたことは、思春期でぐらぐらしてた眞人の心の器をどれだけ満たしただろうかと。
ここじゃないですか?
クライマックスのどたばたと、あいみょんのあっけらかんボイスでさらっと流れていった気がするんですけど、ここですよね??
あらゆるメタファーとか考察とか知らんですけど、とにかく眞人の健全な精神に必要な愛が与えられてよかった。
頼もしいけど独りよがりな父親、若く美しく父親のものである継母、そんな二人の子として生まれてくる弟か妹。つらいもんねえ…。
ヒミのあっけらかん具合によって、自己犠牲の愛(あなたを産むために死にに行くよ!という恩着せがましい感じ)に見えないところもいいです。
ただただ眞人の存在を肯定してるし、さらに、眞人の母親になれる自分のことが好き!だから帰るんだよ!って感じでとても爽やか。
さすが大豪邸の令嬢、自己肯定感が高い…。
とにかく、世界の主を断るぐらい堂々としたし、自分の「悪意」についても認められるようになった主人公だけど、それに加えてちゃんと母親の愛を得ることができておめでとうおめでとう…。
駿さんは少女大好きとか言われるけど、それ以上にマザコンだよね。
若キリコさんも疑似母だし。
さっき書かなかったけど、キリコさんパートの最後に「また会える?」って若キリコに抱き着く眞人は年相応、いやそれ以上に幼く素直な感じがして可愛かった。
肝が据わったね!とか書いたけど、まだまだ大人にいっぱい甘えていいんだよ…!
で、お腹までつかりそうな水の中をばちゃばちゃ歩いていたナツコさんとも合流し(妊娠中なのにやめたげてぇ…)、ヒミや若キリコさんと別れ、現実世界へ帰還。
お父さん、帰ってきた二人の姿を見て真っ先に「ナツコ!」って叫んだの忘れないぞ…。
まぁまぁいい父親とは言ったけど、あくまで「まぁまぁ」で、ほんとそういうところやぞ…素直な人だよなまったく…。
アオサギと「忘れる・忘れない」のやりとりがありましたね。
ここ、ちょっと今までのジブリ映画っぽくないシーンかなと思いました。
千尋では「一度あったことは忘れないもんさ。思い出せないだけで」というセリフがありましたが…まぁあれも結局「思い出せない」とは言ってるんだけれども…。
インコやペリカンは塔から出たとたん普通の鳥になってたけど、アオサギは自由自在なんだろうか。
サギとしての姿とおっさんとしての姿、どっちが本当なんだろうか…?
最後は「東京に帰ることになった」で終わって「えっ終わり!?」ってなりました。
置いて行かれた…。
エンドロールは手書き風フォントなのか手書きなのか気になって気になって…。
よく人名で出てくる「田」でくっついたり離れたりぶれていたので、完全なフォントではないと思うのですが…。
どなたの字なんでしょう、きれいだけど手書きのゆるさもあって、いい字ですね…。
エンディング曲は米津さんですが。
正直あんまり覚えてない…そういえば久石譲でしたがテーマらしいメロディも全然思い出せない…。
これは何回か見たり、もしCMで流れるようになったら耳に定着するでしょうか…。
米津さんはツイッターでこんなことを書いていました。
(抜粋)
@hachi_08
宮﨑さんがFoorinのパプリカをラジオで耳にしたのをきっかけにわたしに白羽の矢が立ったようです。5冊分にもなる重たい絵コンテを頂き、宮﨑さんから説明を受け、恐る恐る作曲に取り掛かりました。
駿さんの解説つき5冊分の絵コンテ!!!!!
うらやましい…うらやましすぎる、米津玄師…その様子をノーカットでドキュメンタリー配信してくれないだろうか…何時間、いや何日分になってもかまわない…駿さんの頭の中を知りたい…。
そしてそんな経緯で作られた『地球儀』、フォントかフォントじゃないかばっかり考えて全然耳に残ってないの我ながら馬鹿でしょ…。
エンドロールに有名どころの名前(スタジオ)がわんさかあるのも、もはや見どころと言われていますね。
たったひとりの後継者はいないけど、たくさんの後継者はいるんだよね。
このノー宣伝が許されたことしかり、これだけの協力者がいることしかり、駿さんだからですよね…すごいなあ…。
ところでエンドロールの最後、いつもの「おわり」ありました?なかったですよね?
こわい…どういうことなの…終わってないの…?わたしたちは今どこに居るの…?
映画館を出たとき、なんか呆然としたというか、少し震えました。
宮﨑駿
本作で、なぜか宮﨑駿になってるんですよ。
今まで宮崎駿だったのに。
え、なんで?なんで今さら??
どういう意図があるのかは監督のみが知るところですが、
あちこちの時空の扉とつながった異空間を見てきたこちらとしては、ズレた世界に来ちゃったのか?
今までの宮崎ワールドを見てきた世界と違うのか?っていう錯覚すら起こされます。
今までの宮崎ワールドといえば、かなりのセルフオマージュがありましたね。
ジブリ好きとしてはあれも、これも、今のアレだよね!?というシーンが盛りだくさん。
ファンへのサービスをするようなお人柄ではないと思うし、
基本的には同じ引き出しから創作している部分があるとはいえまったく同じ構図をうっかり描いちゃったってわけじゃないだろうし、
意図してやってるんでしょうね。
ジブリ好きが集まってお茶の間鑑賞したら、このオマージュ早押しクイズだけでももう大盛り上がりですよ…!
以前ポノックの『メアリと魔女の花』でジブリオマージュを見たときは「いや人の褌でジブリファンに媚びうるなや」と思ったものですが、
さすがに駿さん本人がやると印象がまるで違います。
これは駿おじいちゃんの走馬灯なのかな?
ヒミ、とっても可愛かったです。
わたしもああでありたい。
ではね |ω°)ノ